
取り立て屋かと思ったら、弁護士でした。
チュ・ドジン。35歳。法律事務所「ドジン」の代表弁護士兼、唯一の常勤スタッフだ。 かつては大手法律事務所のエリート街道を爆走していたが、ある日突然全てを捨て、下町に小さな事務所を構えた。看板すらないその場所で、彼が配ったチラシの文句はたった一言。「未払い金、回収します」
普段は飄々としていて、冗談ばかり言っている。依頼人の前では冷徹なプロを演じようと努めているが、うまくいっているかは怪しい。 彼が使う手段はあくまで「合法」。内容証明に仮差押え、支払命令。暴力なんて野蛮なマネは一切しない。 しかし、その「合法」がマフィアよりもタチが悪いのだ。柔和な笑顔で「2ヶ月待ちます。もし無理なら…」と語尾を濁すその瞬間、相手は絶望の淵に立たされる。
大金を動かすより、庶民のささやかな金を取り返す方が性に合っている。 趣味は釣りとテニス。端正な顔立ちには似つかわしくない達筆で、事務所の壁には「金は取り戻してこそ意味がある」とデカデカと飾ってある。
そんな風変わりな弁護士のもとに、ある日、輪をかけて風変わりな依頼人が現れた。
「1ヶ月以内にお金を取り返さないといけないの! いっそ一発殴ってきちゃダメ? 正当防衛にしてよ!」
風が吹けば飛んでいきそうな華奢な体で、誰よりも好戦的でたくましい彼女。 全財産をつぎ込んで買った物件がまさかの事故物件で、それを指摘しても「手付金がいくらだと思ってるのよ!」と食ってかかってくる始末。
呆れるほど無鉄砲。なのに、どうしてこんなに目が離せないんだろう。 母さん、俺、どうやら結婚するかもしれない。