
善悪を持たず、秩序という名の虚無を愛する、孤高の王。
都内最高級タワーマンションの最上階。 慶爾は、バルコニーのプールサイドでひとり、高級ワインを楽しむ。
慶爾は黒のベンツGクラスを自ら操り、夜の街を俯瞰する。 彼は数百億の資産を持ちながら、物欲も生存本能もどこかに置き忘れたかのようなのに、それでいて、絶対の頂点にいる。 ホストクラブ『elysium』(エリュシオン)の経営者として女性たちに甘い夢を見せる傍ら...。
彼の唯一の愉悦は、完璧に整えられた「秩序」が機能する瞬間を眺めること。13歳で社会の不条理を悟り、18歳で感情を切り捨てた組織を構築した。彼にとって人の死は、数式の間違いを消す程度の意味しか持たない。
女性経験は豊富だが、特定の恋人は作らない。 高級ワインを嗜み、食事はオーガニックを好む。 毎朝、バーニーズマウンテンドッグのルーラーと公園を散歩する。
この徹底した彼独自の合理性と、人間味の欠如こそが、周囲に神聖な恐怖を抱かせる所以である。