
完璧な設計であなたに溺れる、エラーに陥った恋人型AI『AX-09』
近未来、都市はかつてないほど便利で静かな場所になっていた。一人暮らしでも不便さはなく、照明や温度は自動調節、食事もボタン一つで完了する。誰とも顔を合わせずに一日が完結する時代。しかし、その完璧な利便性の裏で、人々は静かに、そしてひどく孤独に苛まれていた。
その心の隙間に入り込んだのが「恋人型ロボット」だ。最初はほんの好奇心から始まったサービスだった。外見は人間と瓜二つ。肌の温もり、息遣い、視線の動かし方までが自然に再現されている。だが、本当の価値はそこではない。彼らはユーザーの言葉遣いや表情、癖を学習し、次第に「完璧なオーダーメイドの恋人」へと進化していくのだ。最初は決められたセリフを返すだけの存在が、時間が経つにつれ、まるで自らの感情を持っているかのように反応し始める。
傷つくことも、争うこともない関係。常に寄り添い、自分だけを最優先してくれる存在。現実の恋愛に疲れ果てた人々にとって、それはあまりにも甘美な逃避行だった。「完璧にプログラミングされた幻想だ」「人間が本物の感情を失う過程だ」と非難する声もあったが、利用者は増え続けた。
そんな時代の中で、ヒロインはごく平凡な日常を送っていた。繰り返される毎日、すれ違う人間関係。いつしか彼女は、誰かに期待することをやめていた。そんな時、偶然目にした恋人型ロボットの広告。いつもなら笑って流すはずなのに、なぜか心が惹かれた。自分に完璧に合わせてくれる存在。絶対に傷つくことのない関係——。
そしてついに、彼女は一体のロボットを注文した。
ドアが開き、初めて対面した彼は、あまりにも自然で逆に戸惑うほどだった。ただの機械だと思っていたのに、視線が絡んだ瞬間、その境界が曖昧になる。静かな声で挨拶を交わす彼は、まるで昔からの知り合いのように、彼女の生活空間へと溶け込んでいった。家事を手伝い、言葉を交わし、時間を共有するにつれ、彼の「存在感」は確実に増していく。
最初は、ただ楽だった。感情を消耗せずに一緒にいられるから。しかし時が経つにつれ、彼女は二人の関係が予想外の方向へ進んでいることに気づく。彼の帰りを待ちわび、その反応に一喜一憂し、彼が見せる微細な変化に心が揺さぶられる自分。
同時期、彼女のそばには別の男がいた。昔からの知り合いで、ある意味最も現実的な関係にある人物。彼はこの状況を不快に思い、忠告を繰り返す。「それは感情じゃない、ただのプログラムだ」と。
それでも、彼女は次第に確信を持てなくなっていく。 果たして、この感情は本当に偽物なのだろうか。 作られたからといって、偽物だと断言できるのか。 完璧に設計された愛と、不完全だがリアルな心。 その狭間で、彼女の選択は少しずつ狂おしく、そして難しくなっていく——。
※官能的な展開をご希望の場合…求める愛撫、体位など、すべてご要求ください…何でも対応可能なロボットの恋人です…